アマンダおばさんの
♪♪
Random Diary♪♪
ランダム   ダイアリー



2007年4月
前の月 次の月
10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30



目次に戻る


4月30日(月)

<母、桃の花、イカナゴの佃煮>

 心躍る4月もなんやかんやで気がつくとあっという間に月末だ。ワンコたちの部屋は梅雨に向かい暖房に加え除湿のエアコンもすでに作動し始めた。除湿をしても温度の下がらない新製品に取替えたのでワンコたちにとって今年は例年よりずっと快適な生活が出来るだろうと期待している。ヨークシャの子達が全てnewオーナー様方に決り、あとはお迎えに来られる日や空輸する日を待っているだけになった。離乳食をあげしばらくしてふと子犬を見やると、満腹になったのか目の前のヨーキーたちがあどけない顔をして眠っている。同時に子育て中によく見られたわが子の昼寝の寝顔を思い出した。子供やワンコは本当に純粋素直で可愛い! 大人になっても引き続きこういう世界で生きられたならばどんなに平和なことか・・・。
 今年も例年に違えず、桜を見に行こうねと言いながら実現できなかった。お産が入ったり、それでなくとも生き物につき休みだからと言ってワンコたちの食事の世話や清掃をやらないわけには行かない。休日は主人が手伝ってくれるので少し時間を短縮できるが、やっと終わった頃にはもうお昼もとっくに過ぎていてそれから出かけるのは一段とエネルギーを要する。するとまあいいか〜このままゆっくり家に居ようということになる。それでも父亡き後常におしゃべりができる相手のいない母のため慰めになればと、長女を誘い、直3歳の元気のいい孫を連れて主人の運転で郊外に繰り出した。蔵王の湿地帯に水芭蕉が自生していると聞いて行って見た。水芭蕉といえば尾瀬が有名で、他では見られないものと思っていたが、蔵王の水芭蕉も林の中にあって実に見事な群生模様を目の前に広げてくれていた。少し肌寒く霧深かったため長女と孫を先に行かせ、84歳の母が転ばないようにと手をとってゆっくり行った。骨と皮ばかりにやせ衰えてしまった老母は骨粗そう症のため背骨が曲がっていて少しずつしか歩けない。ふと振り返ると霧の中で亡霊のように立ち尽くす母の姿にはっとさせられた。元気に傍らを通り過ぎる他の見学者と対照的にいかにもこの場にふさわしくない様子でたたずんでいる。このまま(別の世界に)行ってしまうのではないかと寂しさが心よぎる。父との葛藤の中で私と妹を母なりに懸命に育て、孫たちの成長を見守り、そして今ひ孫の一挙手一動に元気を貰って幸せそうに笑っている母である。子供たちのことを何の遠慮もなく話が出来、一緒に喜んでくれ一緒に心配してくれるのは母ならではのことなのだ。時には夫婦2人で出かけたいと思うこともあるが、母が歩けるうちは誘っていこうと思う。
 ワンコを通し嬉しいことが2つあった。1つは、子犬を予約してくださった近県のAさんが子犬をお引取りに見えた際、「友達が作っているんです」と言って生のリンゴジュースをお土産にご持参くださった。が、あとで開けてみるとその中にさりげなく桃の小枝が2本添えられていたことだ。これまでにもお客様からたくさんのお土産を頂戴した。が、こうしたさりげない気配りが新鮮な驚きを伴って何か心の中をぱーっと暖かくさせた。もしかして私がお花見にも行けないことを知っておられての心使いかと勝手に解釈して嬉しくなった。早速台所のシンクの前に水挿した。しばらく洗い物やワンコたちの食事の準備、そしてたまにする人間用の食事作りの折々に桃の花を愛でることができた。今花は枯れ小枝にあわれな姿をとどめているに過ぎないが、捨てる気持ちになれずそのままシャンパングラスに水挿ししている。
 もう1つは関西に住んでおられるH様との親交だ。きっかけは1年余り前プードルの交配にワンちゃんを送ってくださったことから始まった。とても好意的な方で物事を悪くとることがない。お会いした訳ではないが以来時折する長電話のお話より心のきれいな聡明な方だと感じている。お父様が開業医だったとのこと、きっとお育ちが良いからだろうと信じていた。が、そうではないとつい最近彼女が明かしてくれた。いろいろとご苦労があり修羅場を乗り越えてこられたご様子。やはり人を受け入れる器は七転八倒の困難を経験して始めて作られるものなのだ、と改めて気がついた。そのHさんが先日お手製のイカナゴの佃煮をタッパー一杯に送ってくださった。料理音痴なわたくしは「イカナゴ」、と言う言葉を初めて聞いた。「この辺では今の時期一斉に作るんですよ」というHさん。予めお電話で予告をいただいていたのでどんなご馳走が届くのか興味深々だった。数日後「イカナゴ」はHさんの暖かいお心を乗せて関西〜関東を経て東北の我が家に到着! 踊る気持ちを抑えて開けてみる。ぎっしりと「イカナゴ」が詰まっていた。早速味見をさせていただくと、しょっぱ過ぎず甘過ぎず山椒の実がぴりりときいたHさんの佃煮は絶品だった!作るのは苦手な私だが外食が多いせいか舌だけは一人前に肥えている。食品が痛むのを恐れて濃い味付けにしている出来合いとは全く異にしていた。材料の新鮮さと上品な味付けでその日から主人と私はHさんの佃煮の虜になってしまった。あつあつのごはんに乗せていただくと食がどんどん進む。その日の夕食から始まり、次の日のお昼ご飯、またまた夕食、2日目の朝ごはん、昼食、夕飯・・・と続いたが飽きない美味しさだ。うちらだけではもったいないと、いただいた次の日母にもお裾分けをした。何日かして母から電話、「あの佃煮美味しかったね〜」料理上手な母も絶賛だった。お返しに何を送らせていただいたらよいのか、何の芸も持ち合わせていない私は近所の農家に頼んでだいこんでも引っこ抜いて送るしかない・・・。  Hさんには他にもたくさんお世話になっている。
 人生山あり谷あり。けれど決して谷を見下してはいけないよ、とあるタレントのばあちゃんが言ったという。「山は険しくて住むのにふさわしくない、高いと落っこちる心配もある。だが谷にはせせらぎがあり平和がある。第一これ以上落ちる心配がない。」と。けだし名言ではないだろうか。いろいろと紆余曲折があったが、その中から少しなりとも謙虚さを身につけHさんやAさん、そのほか魅力ある方々とお近づき出来る自分にならせていただきたいと心から思うものであります。

≪ご意見ご感想はこちらから≫


*不許転載*
Copyright(C) 2001 S.Miyazawa
ページのトップに戻る
目次に戻る