アマンダおばさんの
♪♪Random Diary♪♪
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5月11日(土) <次男の人参頭事件> 家庭の中で自分が一番だと思って育った子は我慢が出来ず、会社に入っても他人とうまくやっていけない事を思う時、家の中で父親が一番であり、子供は決して中心ではないのだと言う事を幼児期から徹底していく事の大切さを思い知ることが出来る。 今から40年前。当時4歳だった長女に過干渉の子育てをし、主人の存在感がない生活をしていた。何でも私が決め、子供に「ああしろ、こうしろ」と、指図して育ててきた。主人は何でも言う事を聞いてくれる都合の良い存在、くらいにしか考えていなかった。しかし、子供中心ではいけない事、主人中心の生活が子供をまっすぐ育て、仲の良い家庭生活を築く源になることを知った。 以来、事ある毎に主人に伺いを立てそれを実践に移してきた。それは子供のおやつや小遣いの与え方だったり、友達の事、部活や勉強、進学の相談であったりと、主人にパイプを通すことでどれほどもろもろの判断を誤らずに来れたかを思う。 今から20年前のこと。当時大学2年生だった次男がある時髪を金髪に染めてきた。それを見た私は、「あっ!」と、驚き、開いた口が塞がらなかった。「えー?どうしたの?」と言うのが精いっぱい。「あら!、かっこいいね。よく似合うよ。」等とはおせじ にも言えなかった。口には出さずとも人参色に近い金髪頭で部屋を横切る次男を目で追っては、顔をしかめ、「ハ―ッ」とため息をついていた(^_^;)。 そこへ主人が会社より戻ってきた。どんな反応を主人は示すのだろうかと思った。しかし、「おっ! 髪の色変えたんだね」と言ってちょっと笑っただけ。私は次男がその場に居なくなるのを待って、堰(せき)を切ったように主人に尋ねた。「わたしはあの髪どうも嫌なんだけど、あなたはどう思う?」すると主人は、「本人が好きでやっているんだからいいんじゃないの? ああいうのが好みなんでしょ」と、あくまで次男を信頼し、受け入れる様子。 「そうか・・・、主人がいいと言うんだから・・・、まあ、いいか」と、それ以上は何も言わずに人参頭を受け止める事にした。主人と言う目上のいるお蔭で、我を出し次男を責める事がなく済んだことが良かった。 しかし、事はそれだけでは収まらなかった。翌日、旅行から帰った父と母がお土産を持って我が家にやって来たからだ。土産話を聞いているさなか、「こんにちは」とあいさつをして居間に入って来た次男。「はい、こんにちは」とあいさつを返して、真っ先に目に飛び込んできたのは、紛れもないあの人参頭だった。「ああ!」と目を丸くした母。「何だ?」と額にしわを寄せた父。 私は何かが起きると直感した。案の条、気分を悪くしたらしい父は、傍に寄ろうとした次男に向かい、「オレやんだ。そんな色の髪した男。よだこかなんかみだいで・・」と罵声を浴びせかけたのであった。 ちなみに「よたこ」とはこの辺りで不良とかチンピラと言う意味だ。それにしても「よたこ」とは何と古い、懐かしい言葉だろうと思って見ていると、今度は母が「お土産だよ」と言って広げたお菓子を「有難う」と食べようとしている次男に向かい、父は、「見るのやんだがら、あっち言って食べろ!」とますます怒りをあらわにして言うのだった。私はその時「そこまで言うか」と次第に不足になってきた。自分でもあの髪の色はいいとは思っていないけれど、髪の色以外は気持ちが優しい子だし、学生としての本分もちゃんと全うしているのに、そんな言い方しなくたっていいじゃない、とちょっと引っかかった。そういえば父は子供たちの中で次男ばかりを動作が鈍いだの、言葉が遅いだのと言ってきたよな~と過去の事まで思い出しては何だか次男が可哀そうになってきた。 夜帰った主人に「これってどう思う?」と聞いてみた。すると主人は、「俺は拘らないけど、おじいさんは嫌な訳だ。けれどKにとってはいい事なんだよ。おじいさんの考えというのは言わば一般社会の集約された意見といってもいいと思うんだ。一つのアクションに対して受け取りはいろいろ違う、と言う事がわかってむしろいいんだよ。俺は子供たちに打たれ強い人間になってもらいたいと思っている」と言うのだった。それを聞いて私は、自分が狭い視野の中で次男を見ていた事を恥ずかしく思った。全て現実大肯定、出来湧く事全てをこれで良しと受け、それを教育の効果として吸収させようとしているのだと気付いた。そして、目上である父を非難することなく、あくまで父を立て尊ぶ姿を子供たちに写している主人の姿に、間違っても私自身が次男をかばって父を恨んではいけないのだと反省した。 後日次男に、お父さんはこう言っていたよとパイプを通した訳だったが、その時次男は、「わかった。もう少しだけこのままの髪でいるけれど、その内元の色に染め変えたら、出来る限りおじいちゃんと良い関係を保てるよう努力するよ」と言ってくれたのだった。 こうして、家庭の中で目上を立てることにより、子供たちに自分が一番ではない事、自分の思い通りに行く事ばかりではない事を体験させる事が、ひいては社会に出てからも上司に合わせられる人間へとつながっていく事を改めて思う。 ←10/27生ヨークシャテリア ♀ この時学生だった次男は大学(院)卒業後、ゼネコンに入社し一級建築士の資格を取得。39歳の現在、総合病院の新築工事に、設計部門のリーダーとして働いている。また良き家庭人として仕合せに過ごしている。 |
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