6月30日(木)
<Happy wife,Happy life ハッピーワイフ、ハッピーライフ>
約束したかのように今年もイエリッシュピンクのハニーサックルが庭のラティスを覆うほどにたくさんの花を咲かせた。1番花、2番花と辺り一面を妖艶な香りで満たしてくれる。宿根草は良いとして、毎日のようにテレビで震災者の方々のご苦労を見るにつけ、とっくの昔に桜が咲きガーデニングの季節になったにもかかわらずしばらくは新たに花の苗を植える気分になれなかった。もし植えるとしたら白花で埋め尽くそうと決心して重い腰を上げたのは、連休もとうに過ぎた5月の中ごろだった。ところが園芸店に行くと時期が遅かったせいか白い花だけでは数が揃わない。「やっぱりなー」、と出遅れたことを少々後悔しつついろいろ見て歩くうちにすっかりテンションが例年通りに戻ってしまった。ついには完全に右脳が開花?してしまったのである。日頃からガーデニングに限らずインテリアでもエクステリア、ファッションでもカラースキーム(色彩計画)を考えるのが好きだ。反対に数学や理科、メカ、理論・・など左脳の分野は大の苦手。今だに簡単な計算さえ電卓に頼り、携帯の使い方もよくわからない。新しく電化製品を購入しても説明書で使い方を見るのが苦痛。私の場合右脳と左脳とではきっと大きさや重さが違っているに違いない。時として右脳左脳のバランスが取れず、まっすぐ歩けずに右に反れてしまう(冗談だが)。まあ、かといって特別不便さは感じていない。困った時は左脳型人間の主人に頼れば全て事が済むからだ。
それはともかくとして、それまで我慢して鬱積していたものが一気に爆発してしまった。「被災者の方々には悪いけれど、わたしもこの先長いこともないんで・・・、動けるうちに楽しませてください。」「消費でお金を回すことも景気対策になるのではないでしょうか・・・」などと言い訳しながらネットや園芸店で苗や資材を購入する日々が続いた。加えて今年はピエール・ド・ロンサール以外手間が掛かって難しいと諦めていたバラに目覚めてしまった。 クレア・オースティン(嬢)を皮切りにアンティークレース、ロマンチックレース、ファビュラス、ムンステッドウッド、キャラメルアンティーク、ラテールヴェール、パレード、ターンブルー、ロココ、ポンポネッラ、クリーミーエデン、ペッシュボンボン他デルバール・バラの面々・・・と、ただでさえ狭い庭が足の踏み場もなくなった。引き続き梅雨の合間に大きい鉢に植え替える作業に明け暮れる毎日である。ガーデニングと言うより農作業!といったほうがぴったりだ。泥まみれ、汗まみれでタオルを首に巻いての日焼け顔・・・この苦労が実って秋に少しでも咲いてくれれば嬉しいが。更に来春百花繚乱! と相成ればいいのだが、どうなることやら・・・。被災地の皆様、ワンコで毎日がんじがらめの私にほんの少しだけ安らぎのひと時をお許しください。
話は変わるが、ワンコを選ぶ際に一番の決定権があるのは家庭であれば奥様であることが多い。なるほどと思う。なぜならワンコにフードをあげたり世話をするのは大概主婦だからだ。ところがご主人様にもこだわりがあって、時に奥様と意見が合わない場合がある。いつぞやも見学に来られたご夫妻の奥様がブラウン、ご主人様がブラックと、お迎えいただくプードルの好みの色が合わない様子だった。もっとも色だけの問題ではなく、お顔だとか性格も鑑みて各々のご意見が合わないのだろう。私が傍にいたのでは話づらいだろうと席をはずした。何回か「決まりましたか」と様子を見に行ってもまだ決まらない様子、かなり難航しているようだ。そこでヒントを出した。「ご主人様と奥様とでどちらのほうがワンちゃんと一緒にいる時間が長いですか?」すると、すかさず「私です」と奥様が答えられた。「それでは、奥様ご希望のこのワンちゃんに致しましょう!」と誘導させていただいた。ご主人様はこの年上のおばあちゃん(私)の決定を素直にお受けくださったようだ、10日後のお引渡しの折には何事もなかったかのように家族全員満面の笑顔で子犬をお迎えに来られたのだった。
一件落着といったところだが、この事で夫と妻のあり方を考えることになった。そうした折、先日何気なしに新聞を見ていると、ユーミン(松任谷 由実さん)が夫、正隆さんのことを言っている記事が目についた。アーチストにはエゴがある。互いにエゴがあると時に水と油のように家庭との両立が難しくなる。なのに35年も夫婦生活が続いたのはなぜ? それはとりもなおさずユーミンの正隆さんへの尊敬の念だったという。この話を読んでまさしくその通りだと思った。夫婦は愛情だけでは続かない。尊敬する気持ちがなければいずれ破綻するだろう。妻は夫を尊敬し、夫は妻に愛情をかけることで夫婦はうまくいくのだ。
数年前のことだった。やはり2頭のワンコを見に来られてどちらがよいか迷った夫婦がおられた。その時の奥様の言葉が今でも印象に残っている。「お父さん、どっちがいい? 私はどっちでもいいよ。お父さんが好きなほうを選んでいいから。」私はその時とても出来た奥さんだな~と思った。きっと日頃からご主人様を立てて尊敬しているのだろう。あるいは尊敬の対象として見るよう心がけているのだろう。
妻から夫への筋道は先ほども書いたように「敬」だと思うが、それでは、夫から妻への筋道は何だろう。それは前述しているように「愛」ではないだろうか。ではどのように行動に移せば良いのか。それは、「どのようにしたら妻が喜ぶだろうか」と常に考えて行動することだと思う。疲れている妻の様子に代わりに食事の用意をしてあげたり、目覚めのコーヒーを入れてあげる。たいへんそうな妻の仕事を進んで手伝ってあげる、また買い物のときは必ず妻の好みの食べ物を何か1品でも買って帰る。旅行であれ近場であれ妻が行きたいところにはどこにでも喜んでお供をする。妻が欲しい、というものは例えお金があろうがなかろうが「買っていいよ」と言うことであり、部屋が散らかっていても「人間、ごみで死ぬことはないから掃除など気にしなくていいよ」と言ってやることである。妻が興味を示し夢中になっているものには全面的に理解をし、積極的に協力することであり、例えそのために夕飯が食べられずとも臨機応変に自分で夕飯を作って妻に差し出すことである。妻の両親を我両親同様に大切にすることであり、子供の教育のことで不安に思っている妻に「何とかなるから大丈夫!」と言って安心させることである。自分の好みと妻の好みが食い違った場合にあっさりと我を捨て快く妻に合わせることの出来る夫であり、妻のためなら会社を辞めることも出来る夫である。「このように生きればいいんだよ」と後姿で子供達に見本を示せる父親であり、妻が困ったときにはいつでも真剣に考えて手を差し伸べてくれる夫である。妻の苦手なジャンルがあればフォローしてアドバイスしてあげることであり、妻が涙しているときには「可哀想に」と同情し、いつも+アルファーのことをしてあげるやさしさを示めせる夫である。
ずらずらと並べあげたが、お気づきの方もおられるようにこれらは全て我主人が日頃私にしてくれる行動なのだ。主人は結婚以来一度も自分の我を押し付けたことはない。常に妻である私と4人の子供達のことを一番に考えて行動してきた。身近な存在である妻や子供のことを大切にする生活は、ひいては自分の人生を大切にすることに繋がる。まさに「ハッピーワイフ=ハッピーライフ」ではないだろうか。もちろん夫を心から尊敬し、夫の喜ぶことを行動に移すことは妻にとってハッピーハズバンドがハッピーライフであることは言うまでもない。
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