緑濃い季節になった。我が家の猫額庭(「猫の額の庭」の略)も今や所狭しと花や枝葉を広げている。八角ガーデンにはダリアを初めて植えた。ダリアといえば昔から田舎花の代表だった。ダリア、カンナ、グラジオラス、レンゲ、おさらっこ花、矢車草・・・それらは郷愁を伴って心の隅に色鮮やかに焼きついている。今では家庭園芸向きに矮小化されているので昔とはちょっと違っているかもしれないが。緋色は真夏には時として暑苦しく思えるが、まあいいかー、周りを涼しげな色にすればいい・・。直角の花壇にサルビアのクリーム、ダークパープル、ラズベリー色で囲むことにした。今年初めてお目にかかったのがチェリーセイジのクリーム、ペールピンク色。チェリーセイジといえば字の如くチェリー色だけかと思っていたが、園芸店で見つけたとき目が点になった。「こりゃー買わねばならぬ!」「買ってください、とお花も言ってるぞー!」衝動に駆られてトレイ丸ごと連れて来た。チェリーセイジは宿根草で、放っておいても春から晩秋まで毎年咲いてくれる。しかもその香りといったら・・・。<ご存知の方も多いはず> 何とも丸得で文字通り花丸なお花なのであります。この子たちは南ガーデンと北アプローチの花壇に植えることにした。
毎年ジャングルになっていた西側ガーデンはむくげを取り払ってオールドローズ、イングリッシュローズ専用にし、去年までテラコッタに植えていたバラの面々を地植えした。大手鞠は白ばかりと思っていたが薄いピンクがあることを発見、早速ゲットした。だが、どこに植えようか思案中。場所がないのが悩みの種・・。やはり「猫額庭」に違いない・・。
最近は、土日祝日、格安高速料金を利用して遠方より来舎される方が増えた。5月の連休には何組かのご家族がご来訪下さったが、連休初め、関西の尼崎からご見学希望のメールが届いたとき、一瞬何で来られるのだろうか?と思った。新幹線でも遠いし、たぶん、飛行機だろうな・・と想像した。これまでにも東北、東京、関東方面など比較的近場からは新幹線や高速を利用して多くの来客をお迎えしてきた。一方遠い所としては愛知県から飛行機で見学に来られた方、大阪から飛行機でワンちゃんを連れて交配に見えた方、四国から東京の出張ついでに子犬を見に来られた方、そして広島からも新幹線を乗り継いで来られた方などがおられた。が、兵庫県からお車で来られるとの連絡を受けたときには「まさか・・・無理でしょう、来れる訳ないよなー」と本気にしてはいなかった。だがだが・・・ほーんとーにー来られたのでした! 確か前の晩の9時か10時に発ったと伺ったが、ここ仙台に着いたのが翌日の昼12時過ぎ・・ということは・・14時間くらいかかってようやく当方にたどり着いたことになる。先住犬のプードルちゃんたちも凝って選ばれたとのこと、プードルには拘っているんですよ、とご主人様。やがてお目当ての子犬をご予約いただき、その後近くの温泉で休憩はされたが、またまた遠路はるばる14時間の道のりを兵庫まで帰っていかれたのでした。誠に有難いことで、頭が下がる思いでした!
そのご主人様から数日後お電話があった。Mさん;「あのーちょっとお聞きしたいんですが・・」 一瞬ドキ! 私;「な、何でしょう(汗)?」Mさん;「今、香水売り場にいるんですけど、譲っていただいた○○に付いていたあの香水って、・・・ミストですかそれともすり込むタイプですか?」私;「<なーんだ、ホツ(^.^)>・・・・スプレイでシュっとするミストタイプです!」 Mさん;「そうですか、有難うございました。」 受話器を置いた後何だか可笑しくなって笑ってしまった。奥様ならわかるがご主人様自らが香水売り場で○○ちゃんのフレグランスを購入されるなんて・・・。何とまめなご主人様なのだろうと感心した。そしてどんなにか、○○ちゃんの事を愛してくださっているのかと思い知った。
ワンコの香りについてはよく質問されるのでこの機会に「馴れ初め」をお話しようと思う。以前今ほどワンコの頭数が多くない頃は夫婦でよく海外に旅行をした。その頃は学習塾を主宰していたが、塾の良いところはここからここまでは集中してEX.夏期講習、でもここから先は休み〜!とメリハリが付けられた点だ。気持ちもすっきり切り替えて旅行に没頭できることが最大のメリットだった。ワンコ業はそれができない(^_^;)。幸い主人も自営業だったので休みはある程度自由になる。3度目のイギリス訪問だった。その時はロンドンを皮切りに古代ローマンバスで有名なバース、ヨークシャー、「嵐が丘」ブロンテ姉妹のハワース、ウィンダミアー湖水地方、マンチェスターとレンタカーを繰って北上した。その頃は今のようにインターネットがなかった時代、ホテルは全てFAXか直接電話で予約した。夫々に趣のあるホテルを予めチョイスしたが、マンチェスターではマナーハウスに泊まった。昔の領主である貴族の館で、広大な敷地に丸ごとアンティークのお城が素敵だった。カーテン、ソファーともハイセンスで綿密に計算されたコーディネイトに感服した。ダイニングに赴くと一角ではどこかの会社の会食が催されているようだったが、社長?らしきエレガントで綺麗な女性が現れるや否や座っていた男性十数名がいっせいに立ち上がたのには驚いた。そして女社長がイスに座るのを見届けてさっと腰をかけた・・・その光景が何とも優雅で美しく、改めて英国がジェントルマンの国であることを思い知らされた一こまだった。それはともかく・・・お部屋に入るとそこはかとなく漂う香り・・・ポプリなのだろうが、何て素敵な香り・・・脳裏に、鼻腔にしっかりと焼きついてしまった。それから数年経ったある日、さりげなくつけていた知人の香水がマナーハウスのあの匂いを思い出させてくれたのだ。「あの香りだ・・・!」早速知人に銘柄を聞くと、何と日本製のオードトワレだった。免税店で外国の香水は数多く購入したが、どれもあのマナーハウスの香りとは違っていてがっかりした。早速ゲットし、以来自らつけるのみならず、お部屋のミストに、ポプリの補充液に、そして・・・十数年もの間、譲渡する子犬にシュっと振りかけてきた。「アマンダの香り」として。香りは・・「資生堂」の「We’re ウィアー」。We’reはWe are の短縮形 私から私達へワンコの輪が広がっていくよう願いをこめ、たくさんのワンコ達にシュシュっと吹きかけてきたのだ・・・。
これからもワンコに香りを乗せ、アマンダの輪が広がっていけたらと思う次第であります。
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