アマンダおばさんの
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10月25日(土)

<ワンコによる自然回帰>

アメリカの金融破綻から発した経済危機は10月に入ってから世界的な規模で混乱を招いている。見るテレビ、読む新聞、その道の権威者や評論家は軒並みマイナスの展望を述べて一層庶民の不安を掻き立てている。実際に各方面で倒産が相次いでいるようだ。犬舎のワンコ達もどうなるのだろうかと心配しない訳ではない。だが唯一の慰めは他に店舗を持たずいわば家内工業的にやって来た中、借財がないということだろうか。同じにスタートしたブリーダーの中にはショップをオープンし、2店舗目、3店舗目と拡大した知人もいる。ショップ、ドッグラン、その他多種にわたり設備投資をしている業者はこの時代たいへんだろうと想像する。
だが、私は当初から経営者として事業を拡大することにあまり興味はなかった。恐らく経済的には可能だったかもしれない。が、そうすると時としてワンコは商品として見るようになり、自分がやりたいこと、イコールワンコ達と常に生活を共にし触れ合っていたいという原点からこの上なくずれてくるのではないかと思ったのだ。振り返って終始一貫ひたすらブリーディングのみを続けてきた何年間だった。確かにワンコたちの生活を維持するために食費、医療費、光熱費他多額の経費がかかるので子犬を無料でご提供させていただくわけにはいかないが、自分なりの美学をもって「拘りのワンコ」を作ることに集中してきたこの20数年間を決して後悔することはない。健康上のことやその他もろもろの状況からこの先何年できるかわからないが、一つだけ念じていることは、最後の最後まで犬舎のワンコ達を不幸な目に遭わせる事だけは断じてしない、ということである。
 先日動物愛護団体主宰の年1回の講習会に出席した。その中で特に印象深かったのは、ある動物学者のビデオでの話の中、「昔、人間は大自然の中で動物達と一緒に生活をしてきた。草原や、山、海などの自然といろいろな動物達と共存することでバランスが取れていたのだ。ところが時代が進むにつれ、人間自ら自然を破壊し、動物達を追いやったあげくに気がつくと、コンクリートに囲まれた都会の生活に人間だけがひしめく世界になってしまった。人間は、多くの人に囲まれている生活の中ではストレスが溜まるのだ。そこで、緊張して疲れた気持ちを解すために家の中でペットを飼うようになった。・・・ある意味もはや人間は犬や猫などのペットを通してしか自然を感じることが出来なくなったと言えよう。」と言っていた事だった。なるほど、と思った。私自身がブリーダーをやりたいと思った源もやはりワンコの世話をしながら自然に触れていたいというコアーがあったからだ。特に今時の人間社会はあまりにも自己中心的だ。何かというとすぐ権利を主張し、すぐ訴える。医療の現場でのモンスターペイシェントしかり、学校のモンスターペアレントしかり、そこまでいかなくともちょっとした揉め事が日常茶飯に起きる。昔あった「お互い様」と相手を許す心の
ゆとりは現代ではあまり感じられない。殺伐とした世の中になったものだ。  余談だが、「決して己の非を認めない」というやり方はあまりにも自己中心的な社会を作り出してしまったということで、最近アメリカでは「私が悪かった」と謝罪しても必ずしも罪を認めたことにはならないという法律に改正されたそうだ。とても良いことだと思う。

 ワンコ達と24時間寝起きをともにしていると心洗われる思いをすることが度々ある。朝起きると真っ先に飛んできてチューのご挨拶をしてくれる、気持ちの浮き沈みがなくいつも平常心だ。ワンコがいなければお散歩にも行かなかったかもしれないが、車から見る景色ではない歩く目線で自然を感じ取れる。途中同じくワンちゃんを連れた人とも出会うがワンコを連れていなければ余程の知り合い以外は話すことはない。だが、ワンコがいることで自然にコミュニケーションが生まれ人とのつきあいが濃厚だった昔に戻った気さえする。たまにお漏らしをして「コラー」などと叱られても一時しょぼんとするが、しばらくすると何事もなかったように座った私のお尻にべったり体をすり付けて寝息を立てている。叱られて逆切れする人間と違いワンコは決して人を恨まない。帰宅すると出迎えてくれる愛犬のお陰で仕事の疲れがいっぺんに消え失せてしまうご家庭のお父さんは多いはず。それもその日の気分で出迎えたり知らんふりだったりすることはない。いつも同じだ。邪心がないとはこのことだろう。ワンコと会話する時は時として外での自分を解放した赤ちゃん言葉になる。本来の自分に戻れる瞬間だ。
 
 ワンコの姿を通し人間社会には亡くなりつつあるさながらな姿に触れることができる。言ってみればワンコはストレス満載の人間社会でさながらの自分を取り戻す最後の砦といえるのかも知れない・・・。


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